空飛び猫の戯れ言

お菓子作り、メンタル闘病記、お気に入り動画など。空飛び猫の、ありのままの日記です。

一人前の子供。

今日の夜ごはんは母とそば屋で。
たまたま近くのテーブルの家族に小さい子がたくさんいたので、はし袋でせっせと折り紙を作り溜め、帰る間際にプレゼント。喜んでくれましたね。
つる3羽の中に1羽だけ足があるのを混ぜておいたり、一色で色鉛筆を折ったり。子供はすごく細かいところに一瞬で気付く。よく見てる。

同時に、ウォルト・ディズニーの言葉を集めた本も家で読んでいたのですが、すごい。この人のすごさは「大衆を信じる」ところ。少し勉強すればすぐに嫌いになってしまうであろう大衆の力、底力を信じ、家族に楽しんでもらうことを至上とする。こんな発想をする人はなかなかいない気がする。
「子供に見てもらいたいと作るけれど、だからと言ってレベルを落とす必要はまったくない。」すごくその考え方が好きです。
「子供だまし」って言葉があるけど、子供を下に見てる大人の作ったあまり作品は好きじゃない。大概、つまらない。
私はかいけつゾロリを好きなんですが、それは作者の原ゆたかさんが、子供を一人前のお客さんとして扱っているからです。使えるスペースはすべて使って楽しませようとする。「大人には内緒だぞ」とか、きょうふとか、かいじゅうとか。
原ゆたかさんとかゾロリが「子供の中だけでの有名人」だった時期は長かった。ゾロリはテレビ放送される前、図書館で男の子にいちばん人気がある本で、いつも貸し出し中だった、と図書館の方に直に聞きました。
そう、おもしろいんです。私の甥も夢中。

今になって、ずっとずっと好きだった宮崎駿さんの子供好きの理由がほんの少しわかった気がする。子供ほど正直なお客さんはいない。子供ほど受けてうれしい観客はいない。
子供は生命力の固まり。可能性の固まり、未来そのもの。
子供の時間の流れ方は大人の時間の流れ方とは違う。この一瞬ときめいたなにかが、この子の一生を決めるかもしれない。そんな貴重な時間に私達は立ち会えている。だから全力で向き合いたい。お金をかける必要はないけれど、根気を惜しんではならない。
ウォルト・ディズニーマイケル・ジャクソン宮崎駿。時に小児性愛を疑われるほど子供が好きだった、世界で大成功した表現者たち。
それでも彼らは子供を傷つけてはいない。
やはり子供に受けるものが本物中の本物なのか。大衆の中に真実が潜んでいるのか。

今日は、子供の頃遊んでいた近所の場所や公園を散歩してみました。
まだ、私の中の子供は死んでいない。ほとんど死にかけていたのが、甥や姪と出会ったことで息を吹き返し始めた。まだかすかに、駄菓子屋や路地にわくわくできる。
子供の頃は、全てが輝いて見えた。強くときめいていた。この角を曲がれば、物語の世界に行ける気がした。現実と空想の世界は繋がっていた。
「経験不足で、客観が発達していないからだ。」確かにそれもそうなんだけれど、でもその一言で片づけてしまうのは惜しすぎる。
今甥や姪と遊ぶ時、私は全力です。公園の飛行機の遊具で遊ぶなら姪を「機長」と呼び、探検隊を組むなら「○○隊員、○○であるか?」とこんな口調で話す。舞台ごっこをするなら「先生、お願いします」とアシスタントになる。
私には、甥、姪に見えている物が見えない。大きな怪人、いちめんの雲、ヘビのひそむジャングル、素敵なドレスに満員のお客さん。でも、甥・姪がそれを見ていることを感じることはできる。
そして、甥・姪が真面目に言っていることを笑わない。子供の頃それをされて、自分がものすごく嫌だったからです。真剣に応対する。
「いつも子供の世話をまかせてすみません」と言われるけど、私は大人といるより子供達といたい。その方が楽しい。

もうひとつ思うこと。
子供を愛する人の中には、時に子供を子供という生き物だと思ってしまっている人がいるように感じることがある。
子供は人間のひとつの「過程」です。イモムシという生き物じゃなく、蝶の一生のうちの過程にしか過ぎない。
そこをわかっていないと、とんでもない間違いを犯してしまう気がする。例えば、子供を甘やかすだけ甘やかす。二十歳になったら大人の世界にいきなり放り出す。それは結局、そこに馴染めない「元・子供だった」その人を、余計に苦しめるような気がする。
子供を愛するんじゃなくその人を、その人間を愛するべきなのでは?

今は公園から遊具がなくなって、すっかり殺風景な風景になってしまいました。私は少しさみしい。
子供の世界はどうやったって危険にあふれているもの。誰だって何度かは「死にかけた」「一歩間違えたら死んでいた」体験をしているはず。
そっちへ行ったら痛い思いをするぞ。見えていても、わかっていても、手を出さず本人に体験させて学ばせる愛情もあるはず。ただ「それをやったら間違いなく死ぬ」だったら、相手に生涯憎まれてでも止めなければいけないけれど。

子供はすごい。そこにいるだけでいい。
側にいるだけで元気になるし幸せになる。
その魅力で、私の心をとらえて離さない。