空飛び猫の戯れ言

お菓子作り、メンタル闘病記、お気に入り動画など。空飛び猫の、ありのままの日記です。

貧しくて豊かなあの人。

自分が幸せなとき、人にやさしくすることはすごく簡単。
それよりも、自分が辛くて苦しくて限界なときに人にやさしくする方がずっと難しいし、ずっと価値がある。
100万円の手持ちの中から1万円あげるのと、100円の手持ちの中から50円あげるのとでは、後者の方が行為に価値があるのは当たり前。

もっとすごいことは、苦しい立場の自分と同じ高さにいた相手が成功したとき、ひとりだけ先に行ってしまうとき、それに「おめでとう」と言えること。「偉いじゃん、でもうまくいくかな」じゃなく「すごいね、尊敬する」。上から言わない、見上げて。
私はいつもこれをやって来たつもり。本当に難しいけど、言えたあとは「やった!」って気持ちになる。私の相手への愛情は、相手へのコンプレックスに勝ったぞ。見たか!みたいな(笑)

じゃあ逆に、私にこれをやってくれた人。悲しい話が、皆無に近い。これが現実。
それをしてくれた人と、今も付き合いが続いているのかも。だから私には、友達が少ない(笑)。
レミーの記事にも出てきた、絵のうまい子。あの子は私の病友で、親友だった。一緒にいるといつも勉強させられた。
人に愛情表現を惜しまないこと。人を笑わせること。お金より手間のかかったプレゼントをすること。
あるとき、彼女は「トーストってすごくない?」と言った。また冗談?と思ったら、「トーストは同じものなのに毎朝味が違う」。つまりトーストはある種の基準になるってこと。なんてセンスだ!こんなことばかり。
彼女の絵は、見た人を笑わせる。一瞬で笑顔にする。太陽とか、ひまわりのような子。
私には彼女の存在は不思議でたまらない。生活保護でチョコが贅沢品なのに、人にプレゼントしてばかり。自分より苦労の少ない人にやさしくする。自分が今可能性を持っているのは自分の努力ではなく、ただ奪われないでいるだけで、それはいつ奪われるかなんて誰にもわからないほど信用できないものなのにそれになぜか根拠のない自信を持っていて、人生の先輩に相手が病人だからとため口をきくような人にも。どうしてそんなことができるのか…?私には、絶対にできない。
彼女のような立場の人のことを知りもしないのに、イメージで悪く言う人と会うと心底腹が立つ。あなたは彼女のことを何も知らない。何が好きで、どんな風に笑って、どんな声で話すのか。あなたは「マスコミが作り上げたいもしない架空の人」に怒っているだけ。でも言わない。言ったって通じないし、わかってもらおうとも思わない。

製菓学校に通うようになった今でも彼女に教わったことは生き続けているし、ことあるごとに彼女を思い出す。尊敬する。
彼女のやってきたことは表彰に値する。でもそれより素晴らしいのは、彼女は評価されるためにそれをしたんじゃないってこと。明日からもみじめな現実は続く、昨日までと同じように。

彼女にはかなわない。プレゼントを送ると「お礼ができない…」というけど、私のプレゼントがすでに彼女へのお礼で。
マザーテレサは言ってた。「貧しい人にはいらない、使わない余り物でなく、新品のいいものが与えられるべき。彼らは偉大だから。」
貧しい人のすべてが彼女のような特Aクラスではない。でも、あなたを思っていますという気持ちを欲しているはず。誰よりも。

だから彼女にプレゼントを買ってしまう。尊敬と感謝、愛を伝えたいから。