奪われる準備、心の準備。

私まだあの人が好きなんだな。
フェルメール。エスプレッソのダブル。

どうして私に、自分の作ったお菓子の写真を見せたの？ほかの人の作品と混ぜて、自分が作ったんだってばらさないで。
「これはフランス人が作ったんだと思う？」「日本人が作ったんだと思う？」
その流れで、「じゃあこれは？」って自分の作品を見せた。言わないで。
私の答えは「う～んわからない」。
彼が作ったと知った後の私の最初のリアクション、「だから〇〇さんの感覚はハーフなんですよ！」
東洋人と西洋人の、ハーフな作品。彼の苦しみだった生い立ちが、結晶化した作品。素っ晴らしかった。

だけど彼にもまた迷惑をかけたし、連絡ももう取りようがない。謝ることさえ、申し訳ない。

あの人と私は月とスッポン。雲泥の差。
でも、
製菓を愛してる。

彼はお菓子を作る為に生まれて来たような人。
私は今日も1人で、大量の皮剥きに洗い物と、格闘。

この道がどこかへ通じるのかな。
私のやっていること、なんの意味があるんだろう。

人の役に立てているから。
食べた人から喜びをもらえるから。
だけど、だけど。

私にも夢を持つ権利、あるのかな。
もうとっくに諦めてしまった。
夢をみれば、病気という邪魔が入って傷付くんだ。
何度もそれが起これば、さすがに私だって学習する。

不登校の時。
大学の時。
製菓学校の時。
いつもそれは起こった。
うまく行きかけていたこと、やっと見つけかけた居場所、重ねてきた努力。
すべてが奪われた。
今いる場所でだってきっと、いつか。
そう心の底で準備しておかなければ、また傷付くから。

疲れたんだ。
少し休もう。