空飛び猫の戯れ言

お菓子作り、メンタル闘病記、お気に入り動画など。空飛び猫の、ありのままの日記です。

男である前に、女である前に。

内田春菊の「瞳を閉じて抱いて」を数回読み返した。
これは、男らしさ女らしさって何?無意識に自分も、それに縛られてない?こんな男に、こんな女にだけはなっちゃだめだ、ってことを勉強できるマンガ。
もっとソフトに、コメディタッチにってなると「けだるい夜に」がいいんじゃないかな。

すっごい!ってセリフがいくつもある。

「いちいちそういう言い方で『自分の方が保護されるべき弱い立場だ』ってことにしようとする
僕はもう女のそんなところにうんざりしてるんですよ
あれは言葉の暴力だ
言葉でぼくをだんだん縛っていって
身動きできないようにして・・・

彼女はちっとも弱い立場なんかじゃない
凶暴だと言ってもいいくらいですよ」
「僕はもともと男らしくなんかないんだ
なんで男だけがすべての責任を負わされなきゃなんないの!?
だからみんな女は弱いふりしてるんだよ!!
そっちの方が楽だもの・・・
でもこっちはそんなに何もかもしょいこめないよ!
自分のことでももてあましてるのに・・・
人の世話まで・・・僕にはそんな力はない!
それが男らしくないっていうんなら
僕はもともと男らしくないんだ」

「やってらんないわこんな男と・・・
こんどはどんな面倒起こしてきたのかしらないけど
セックスや結婚に『しさえすれば安泰』って考えしか持てない男!!
私はあんたの子守り役じゃない
私の部屋はあんたの逃げ場じゃないわ
これから先一生女でなく母親の役目を押しつけられて
どんな甘えも飲んであげなきゃならない
そんな結婚なんて
だれがするもんか!!」


内田春菊には賛否両論あります。私もすべてを好きなわけじゃない。
でもこの、「国、時代によっていとも簡単に変わってしまう、何の頼りにもならない男らしさ女らしさに縛られている自分を自覚する」っていう意味で、こんな優れた教科書はなかなか見つけられない。
だから私は内田春菊を読みあさったんだと思う。
最初はほとんど意味がわからなかった。どこがおかしいの・・・?どうして怒ってるの、って。でも今はわかる。
要するに、男性も女性も男とか女である前に人で、人としてやっちゃいけないことはやっちゃいけないでしょ、ってただそれだけのこと。
それなのに、自分を好きになった相手には、付き合ったあとには、何をしてもいいと思っている人が多すぎる。



よく、「女は告白待ちだ」「おごってもらって当然だと思ってる」とか聞きますよね。
私は今までの恋愛で自分から告白したし、割り勘したい。だってそうじゃなきゃ関係が対等じゃなくなってしまう。
もっと率直に言います、ホテル代だって割り勘したい。「男ばっかりしたがる」「私は乗り気じゃなかったけど押されて…」これは卑怯だし、嘘。手を縛られて部屋に連れ込まれたわけでもない限り、お互いの同意の上の行為です。好きな人にはさわりたいしさわられたい。男であろうと女であろうと、当たり前の感情です。でも割り勘させてくれた人は、いなかったな…。

カップルは勝ち負けじゃないんです。どれだけ無償で相手を思いやれるかじゃないの?好きな相手の幸せを望むことじゃないの。
好きな人を利用するなんて、「自分が好きなのは相手じゃない、自分だけだ」って自分から言っているようなもの。そんなみっともないマネはしたくない。
大和撫子は死んだ」とか言われるとむっとくる。「じゃあ日本男児は生きてるのかい?」と言い返したくなる。そうすると「理屈っぽい女はかわいくない」「女はバカでいいんだよ」。話が通じない、じゃあそういうかわいらしい女の子を選んでくださいってなりますw

私は、基本的に女は甘えてると思っています。まず男は、言い訳しない。ギャーギャーわめかない。それだけでも尊敬できる。
女に選挙権が与えられていない、それは行きすぎです。でも男は「専業主夫になりた~い!」なんてわめかない。
本当に男と対等になりたかったら、言い訳をやめて、権利だけ欲しい!ってわめくことをやめる。そこから始めなきゃ、と思います。

女は本当に弱いんでしょうか?基本的に心中しても片方生き残るぐらい強いんですから、そんなに弱いとも思えない。
私自身、長~いこと女の中で生きて来て、女という生き物のことをよく知っています。男性で女子校の先生なんて、死んでもやりたくない(笑)。丸裸でハイエナの群れに飛び込むようなものです。
女はすぐなついてくる。かと思えば勝手に冷める。振り回される。姪なんか見てても・・・女は天性の嘘つき。でも同時に、女ってかわいいんです。ほんとに、かわいい。いいにおいするし、やわらかくて、ふわっとしてて。
もし女にこのかわいさがなければ、私はたぶん女と付き合いたいとは思いません(笑)。それだけ、かわいいって強い。
私は、私自身が女であっても、自分がかわいいと思えない女には冷たいですよ(笑)。表面上は愛想で合わせたとしても。もちろん見た目のことでは、ありません。

ウルフルズの「いい女」って名曲があります。
男はお金より見た目より車より心意気で、それをわかってくれるお前みたいないい女がやっと俺にもあらわれた、ってラブソング。
トータスの歌い方含め大好きなんですけど、じゃあ「いい男」は誰が歌ってくれるのかな?と思う。
女は「見た目より若さより手料理より心意気」、それをわかってくれるいい男はどこにいますか?




前に恋人がいたとき、私はよく内田春菊を読んでいました。きっとそのもやもやの正体をつかみたかったから。男、女以前に、人と人として付き合えるように。
でも相手は、にやにやしながら「ほんと内田春菊好きだよね」と言った。やらしいね、って顔に書いてあった。
確かに内田春菊の作品の性描写は過激だけど、いちばん重要なところはそこじゃない。登場人物達のセリフです。だけどこの人は、私がそう考えてるなんて思いもしないんだ。すごくがっかりしたことを覚えています。

私はもう、恋愛そのものが嫌になってしまった。嫌な思いをし過ぎたんです。
恋愛ってちっとも素晴らしくなんかない。トータルでマイナスの方が多いじゃないか、って。
でも前に進まなきゃ。進みたい。
私達は人です。学ぶことができるはず。