空飛び猫の戯れ言

お菓子作り、メンタル闘病記、お気に入り動画など。空飛び猫の、ありのままの日記です。

仁、ありがとう。(ネタバレあり)

見終わりました。「-JIN-仁」最終回。

顔が涙と鼻水でふやけています。かたわらには丸めたティッシュが山積み。
この作品の最大の成功であり魅力は、日本の偉人や先人を友達のように我々が感じられる、この実感を確かに与えたところだと思います。
普通私達は、偉大な先人達の古ぼけた写真を、そこに添えられたわずかな説明書きを教科書で見る。ところが仁では、それが逆だった。現代にいよいよ戻ってきた仁は、共に日々を過ごした仁友堂の友人達が、同じ苦労を共に乗り越えた仲間達が、教科書に古ぼけた写真として載っているのを見た。偉人と歴史や国で繋がっているのではなく繋がっていた人が偉人になっていたのです。
私達は龍馬の悩んだ顔を、笑った顔を、どうしようもない欠点を、癖を、知っている。親近感を抱き、大切に感じた。だから龍馬暗殺のシーンが辛かった。偉人は偉人という特別な生き物ではなくやっぱり人で、だから悩み、苦しみ、失敗もした。それでもやり遂げた。未来のために。つまり、今を生きる我々に続く道を開くために。
最後に海に入っていく龍馬は「先生がいつかわしらのことを忘れても、わしらはずっと先生と共におるき」と笑った。それは仁への言葉であったけれど、確かに今を生きる全日本人へのメッセージでした。感じられなくても、確かに私達は歴史で、日本という国で繋がっている。私達は龍馬の、咲の、懸命に熱く生きていたあの時代の仲間たちみんなの子孫なのだ。

素晴らしい感覚だと思います。これは確かに、数々の受賞に値するでしょう。
同時に思いました。私達は許されるのだろうか?私を捨て公のために生きることを最大の誇りと喜びとした日本人の子孫である、今の私達のこの生き方を。恥を感じないのだろうか。後ろめたさなしに、彼らと顔をつき合わせられるのだろうか。
仁は「今からが始まり」というメッセージも何度も発信したと思います。歴史のどうしようもない大きな流れには抗えなくても、今を生きる人なら未来を変えられる。大いなる志を持って生きよう。例えそれが偉人達のように多くの人に知られる史実にならなくても。その時恥だと、後退だと評価される行動が、時代の常識というものを取り払って見れば大変な英断だということがある。

咲と仁の恋は、時空を超えた両想いになりました。咲の仁への思い方ひとつとってもすごかった。あれは恋ではなく愛でした。仁と咲は師弟関係であり、仲間であり、親友であり、時に母子のようでもあった。ただ抱きしめ合うだけで心が震えるような恋の描き方ができるとは。

私はずっと前から日本のテレビドラマというものを諦めていました。いい作品は、生まれない。
でも仁はおもしろかった。はっきり、おもしろい作品でした。製作費は普通のドラマの2倍と聞いています。真剣に物作りをすれば、やはり結果は残せる。

最終回観賞中に、よぎったある予感。これから仁っていう名前の男の子、増えそうだなあ。すごく意味の深い文字なのに・・・。
仁 - Wikipedia
医は仁術 - Wikipedia

本当におもしろい作品でした。毎週楽しませてもらいました。私、これからもっと日本史知った方がいいんだなあきっと。
来週からもう仁の放送ないのかあ・・・。新しくはまれるもの探さなきゃ。